コラム


(6) 東京都のマンション価格と年収倍率の推移

(6)東京都のマンション価格と年収倍率の推移

1. サラリーマンの平均年収の推移

1995年~2007年のここ13年間の「サラリーマンの平均年収の推移」【図表-17】を見ると「共同住宅の廊下・階段に係る容積率不算入制度」が導入された1997年の467万円をピークとして、2006年の435万円まで10年連続して下降を続け、2007年に437万円と上昇に転じたが、1997年のピーク時より30万円も減少した。ここ13年間にサラリーマンの平均年収は伸びず、むしろ減少している。

2. マンションの平均価格と平均年収倍率の推移

一方、「マンションの平均価格と平均年収倍率の推移」【図表-18】を見ると、マンション平均価格は、「共同住宅の廊下・階段に係る容積率不算入制度」が導入された1997年の5,150万円(東京23区)をバブル崩壊後のピークとして、底を打った2004年の4,650万円(東京23区)まで徐々に降下している。その間、平均年収も徐々に減少したため、マンション平均価格の平均年収に対する倍率は約6倍(サラリーマンの平均年収に対する倍率は約11倍)と横ばい状態で推移した。

しかし、マンション平均価格は2004年から上昇に転じ、2007年は6,150万円(東京23区)と1997年のバブル崩壊後のピーク時価格を約1,000万円も突破し、2004年のバブル崩壊後の底入れ価格4,650万円の1.32倍にまで上昇している。 また、平均年収に対する倍率は、東京区部物件では、約9倍(サラリーマンの平均年収に対する倍率は約14倍)にまで上昇している。 2004年の東京区部住宅地の基準値の平均土地価格が、バブルが始まる前の土地価格の120%であったものが、1.32倍の2007年には158%に上昇しているので、土地価格の上昇分をそのままマンション価格に転嫁した形になっている。

3. 共同住宅に対する容積率制限の緩和措置効果の消滅

都市部のマンション価格を引き下げるために、バブル崩壊以降導入された様々な容積率制限の緩和措置の効果が、土地価格の高騰により、2008年前半時には、まったく消滅してしまった。これでは特別の高所得者でなければ、マンションが買えない。売れなくなって当然である。バブル期の状態の再来である。 サブプライムローンショックの影響で、世界の金融資産に対する信用収縮がおき、投資家たちが原油や金、穀物、その他資源、商品等の実体のあるものに殺到した。それによって、原油や金、穀物、原材料等が高騰した。この影響で、2008年着工のマンションは今まで以上に建設コストがかかり、マンション価格も今売り出している物件以上に販売価格のアップが予想される。たとえ、この不況で着工件数が減少したとしても、高度成長をしている人口1位の中国と人口2位のインドを巻き込んだ世界的な資源の獲得競争の熾烈化で、建築資材価格の値下りについては多くを期待できない。 また、日本の総人口が減少し、マンションの新規需要の減少が見込まれる現況で、今までのマンションづくりの手法を踏襲するならば、在庫を積み増すだけで、不動産業界は、壊滅的な打撃を受けかねない。 土地の価格とマンション価格を、少なくともバブル崩壊後底を打った2004年当時の価格水準まで下げる開発手法を見つけない限り、一般の人の手に届くマンション価格にならず、この不況を脱することはできないと思う。